東海地方アニメデータ集

その2 テレビ愛知「マンガのくに」放映リスト(1990年代)

 テレビ愛知で平日の夕方18時30分から放映していた「マンガのくに」をご存じでしょうか。1983年9月のテレビ愛知開局より1996年3月まで13年間の長きに渡って、様々なアニメの再放送を行ってきた、ある年代にとっては懐かしい枠でしょう。
 1980年代は単に「懐かしのアニメ」を再放送するだけでしたが、1990年代に入ってからは、新旧取り混ぜた面白いラインナップになったと思います。中でも、日本テレビ金曜夕方17時のサンライズ作品(東海地方では中京テレビで同時ネット)を全作再放送した事は、快挙と言えるでしょう(特に「サイバーフォーミュラ」「ママ4」は本放送終了から9ヶ月後に再放送)。個人的にもこの枠を熱心に観ていたのは90年代に入ってからなので、ここでは、1990年以降について、「マンガのくに」放映作品を調べてみました。
 実際に観ていた方はご存じでしょうが、この枠は「基本的にOP・ED・次回予告はなく、本編のみの放送」と言う非常に問題のある形式による放映が続いていました。その放映形式に変化が見え始めたのが、これまた1990年に入ってからです。一部の作品にOPが付くようになり、その後EDまで流れるようになった時は「テレビ愛知も進歩したものだ」と不思議な感慨を抱きました。そこで、記憶を頼りにOP・ED有無の状況もリスト備考欄に付記しました。このリストで、懐かしい夕方18時30分の時間を思い出していただければ幸いです。

作品タイトル放映期間備考
1990年
炎のアルペンローゼ ジュディ&ランディ2.15〜3.14(詳細不明)
伊賀野カバ丸3.15〜4.18(詳細不明)
ドテラマン4.19〜5.16
魔女っ子メグちゃん5.17〜9.4
おれは鉄兵9.5〜10.16OPあり
魔女っ子チックル10.17〜12.18
おじゃまんが山田くん12.19〜1991.5.23
1991年
ハクション大魔王5.24〜8.9
夢戦士ウイングマン8.12〜10.21OPあり
みゆき10.22〜12.11途中から(?)OPあり
魔動王グランゾート12.12〜1992.2.13最後の3週はOPあり
1992年
魔神英雄伝 ワタル2.14〜4.20OPあり
魔神英雄伝 ワタル24.21〜6.29OPあり
名門!第三野球部6.30〜9.1OPあり
新世紀GPX サイバーフォーミュラ9.2〜10.28OP・EDあり
宇宙船サジタリウス10.29〜1993.2.19最後の3週はEDあり
1993年
2.22〜4.5OP・次回予告あり
キャプテン翼[再]4.6〜5.14OP・次回予告あり、第26話までで中断
あした天気になあれ5.17〜7.30OPあり
闘将!!拉麺男8.2〜9.24OPあり、第34・35話(総集編)は未放送
ママは小学4年生9.27〜12.6OPあり
銀河漂流バイファム12.7〜1994.1.28OPあり、第31話まで放送、第32話以降水曜朝7時35分〜の枠に移動
1994年
超電動ロボ 鉄人28号FX1.31〜4.5OPあり
キャプテン翼[再]4.11〜9.14OP・EDあり、第27話〜最終話を放送
ミスター味っ子[再]9.15〜1995.2.14OPあり、EDは20秒の短縮版
1995年
悪魔くん2.15〜4.14OP・EDあり
魔動王グランゾート[再]4.17〜6.12OP・EDあり
ダッシュ勝平6.13〜9.11OPあり、EDは45秒の短縮版
魔神英雄伝 ワタル[再]9.12〜11.14OP・EDあり
魔神英雄伝 ワタル2[再]11.15〜1996.1.26OP・EDあり
1996年
名探偵ホームズ1996.1.29〜3.4OP・EDあり
赤ずきん チャチャ[再]1996.3.5〜3.29OP・EDあり、第19話まで放送、第20話以降水曜朝7時35分〜の枠に移動

※備考欄空白の場合は、OP・ED・次回予告の全てが放映されず。

※1991年3月29日までは18時30分〜18時58分の枠で放映(18時58分〜19時は「ちびっこ展」)、
1991年4月1日以降は18時30分〜19時の枠で放映

※[再]表示は新聞テレビ欄に従った。
(「翼」「味っ子」「チャチャ」は自局で本放送を行った作品の再放送、
「グランゾート」「ワタル」「ワタル2」は「マンガのくに」での2度目の放送)

(解説)

 以上が「マンガのくに」1990年に入ってからの全作品です。更に、上のリストで書ききれなかった周辺事情を補足しておきます。
 まず、OPもEDも無い場合のスタッフクレジットですが、一部作品では本編終了後にスタッフ名を列記したフリップを表示していましたが、ほとんどの場合は本編最後にビデオスーパーで制作会社名のみが表示されていました。「魔女っ子メグちゃん」なら画面下部に「制作 東映」、「ドテラマン」なら「制作 タツノコプロ」と言った感じです。
 上のリストを見ると「キャプテン翼」が一度中断していますが、これはNHK-BS2にて、全く同じ18時30分〜19時の枠で「キャプテン翼」再放送が始まった事が原因ではないかと思われます。中断時には「事情によりお休みします。続きは夏休みに放送します」と言った旨の断りを入れていたので、夏休み恒例の、朝のアニメ枠で放映するものと思っていましたが、結局夏休みにも冬休みにも放映されず、約1年弱の中断の後に「マンガのくに」枠内で再び放送されたわけです。その頃にはBSでの放映が終わっていたので、この枠で再開できたのでしょう。
 また、「マンガのくに」放映作品では唯一、「銀河漂流バイファム」が途中で朝の時間帯に移動となりました。明確な理由は分かりませんが、それまで「マンガのくに」は常時15%前後の高視聴率を取っていましたので、視聴率低下が原因なのかもしれません。しかし、それならば、後番組が「鉄人28号FX」と言うマイナー作品(中京テレビの本放送は第25話から早朝に左遷)なのがよくわかりませんが。
 さて、1996年3月で「マンガのくに」の枠は終わりを迎え、以降現在までテレビ東京と同時ネットで新作アニメを放映しています。テレビ東京では1989年10月よりこの時間帯は新作を放送していたので、実に6年半遅れて、ようやく同時ネットが実現したわけです。それまでテレビ愛知が「マンガのくに」を終わらせなかったのは、先ほども触れたように、下手に新作を放映するよりも高い視聴率が取れたことと、中部電力やカレーのオリエンタルなど地元スポンサーが付いていたせいでしょう。
 この枠が同時ネットになった理由ですが、結果的に大変なヒット作となった「新世紀エヴァンゲリオン」が、やはり18時30分枠の放送だったために、テレビ東京系で唯一、テレビ愛知のみが同時ネットしていなかった事が原因の一つではないかと考えています。これ以前にも、多くのアニメが一週間ほど遅れて異なる時間帯で放映されていたので、アニメファンの間では不満があったのですが、「エヴァ」という超話題作までもが一週間遅れで、しかも朝に放映されたため時刻表示まで入ってしまう事となり、残念に思った視聴者はこれまでの比ではなかったでしょう。実際、当時のアニメ雑誌で「テレビ愛知に苦情の電話をかけた」という内容の投稿を見た覚えがあります。他にも苦情が来ていた可能性は十分考えられます。
 まあ、これはあくまで勝手な想像なのですが、5作品もの新作アニメが別時間帯で放映される状況には無理がありましたし、当時は名古屋の民放各局で夕方のアニメ再放送枠が徐々に消えていた時期ですから、いずれにせよ「マンガのくに」も潮時だったのでしょう。ちなみに、テレビ愛知の「エヴァ」最終回は4月4日の放送でした。「エヴァ」が「マンガのくに」の最期を看取った形になったわけです。
 ともかく、長年に渡って親しんできたアニメ再放送枠だったので、新作が同時ネットとなった事は嬉しくても、やはり「マンガのくに」が無くなった時は寂しさを覚えたものです。このリストを「マンガのくに」放映に携わってきた方々に捧げたいと思います。